松田塾⻑×草切住職スペシャル対談

新型コロナウイルスが世界の流れを変えた2020年。世に大切なものとは何かを多くの人に問うた1年でもあった。年が改まって2021年、この問いへの解を導こうと進学塾リオンと本円寺(千葉市)が手を組み、新形態の塾「獅子丸」を立ち上げる。

――「獅子丸」はどのようなことを学ぶ場所ですか。

松田貴盛塾⻑(以下、松田)

進学塾リオンの由来は「ライオン」すなわち「獅子」。自らの力で荒波を乗り越えていける強さを身につけてほしいとの思いを込めています。これに加え、他者と比べることなく自分にマルを与える存在になってもらいたいという願いから「獅子丸」と名付けました。
獅子丸は自分が何者なのか、本来の個性は何かを探求できる場所です。「ジーニアスプログラム」という
小田全宏氏が創った記憶法を使い、いろんな知識を瞬時に覚えられるようになります。「人間の脳はこんなにすごいんだ」と自信を持ってもらうところから始まります。

-草切榮隆住職(以下、草切)

獅子丸に賛同したのは心の教育に重点を置いているからです。勉強する前提として大切なのは「学ぶことが楽しいということを学ぶ」ことです。それが目的であるところに共感しました。

既存の塾は学力を伸ばすために通いますが、獅子丸はまず個性を伸ばす点に重きを置いていると思います。それぞれのやりたいこと、心から欲するものを見つけることで、結果として学ぶ力が養われます。

――なぜお寺で学ぶ必要があるのですか。

松田
獅子丸は受動的に「教わる」というより能動的に「学ぶ」場です。お寺も無理に来させられる場所ではなく、自ら足を運ぶところではないでしょうか。
生きとし生けるものが皆、素晴らしい存在であることに気づき、その中で自分の殻の中にあるつぼみやエネルギーを探すのにふさわしい空間がお寺にはあると思います。
人と人とのつながりが希薄化している時代だからこそ、いろんな人が集うお寺で人との結びつきを幼少期から自然と感じられるのは非常に大事なことです。

草切
仏さんの前では皆、平等で公平なんです。そこに優劣はなく、自然も含めて全てが皆一緒なんだよということが分かってもらえる場所がお寺です。
自分で見えない心の中に気づかせてあげて「そっちを学んでも大丈夫なんだよ」と、きっかけを与える場になればいいですね。
お寺は本来そういう機能を持っていたはずです。宗教的な信仰を強制するものではなく、一人ひとりの心の在り方の一つ一つが信仰そのもので
す。「あぁ楽しかったな」「お寺って面白いな」と思ってもらえれば、それはもう立派な「信仰」と言えます。

――獅子丸を立ち上げるに至った背景にはどのような問題意識がありましたか。

松田
近代日本の教育は約150年間、ずっと同じ形で続いています。黑船来航で⻄洋文明が入ってきて、個々の能力を重視する教育が始まりました。終戦後には米国教育使節団がやってきて、教育の主体が村や共同体から各家庭にシフトしていきました。
かつてはお寺のような場所で遊んだり学んだりする環境が身近にあったのですが、子ども達の居場所がどんどん狭まってきています。行き場のない子ども達がどう感性を磨いていくんだという強い問題意識を持っていました。
コロナ禍で未知の課題に立ち向かう能力の必要性が浮き彫りになりましたが、画一的な受け身の教育を続けていては困難を乗り越えられません。感性を育む獅子丸の理念を通して、教育の地殻変動を起こしたいと考えました。

草切
私が小さかった頃はよく近所の神社の木に登ったり、クルミの実を落として食べたりしていました。遊び場がないときの逃げ場でもありましたが、近年は防犯上の理由もあってそういうお寺が少なくなってきてしまいました。
本円寺は生け垣も取っ払って、いつでも誰でも入ってこれます。お寺を中心として皆が安心して暮らしていける街を目指しているからです。お寺はいつでも誰でも自分がやりたいことを気軽にできる場所のひとつになれると思います。

――具体的にどのような手法で個性を引き出すのですか。

松田
知能を測る指標としてIQテストが有名ですが、一つの側面だけでその人の能力を測ることなどできません。
獅子丸で取り入れるのはマルチプル・インテリジェンス(MI、多重知性)という理論です。人間の知性は言語や数学に限らず、運動、音楽、対人能力など8種類あり、人は誰でもいずれかの才能を持っています。
子どもは自分にこういう才能があるんだと気づくことによって、好奇心を持てるようになります。獅子丸はいろんな才能を自分で認識できる「気づきの場」になることを目指します。

――獅子丸で学ぶ子どもに最も伝えたいことは何ですか。

-草切

根底にあるのは何でも自分の好きなものをやっていいんだよ、ということです。勉強とは苦しいとか辛いとか、そういうものではなく、楽しいことなんだよ、と伝えたいです。
世の中は目に見えるものだけで成り立っているのではありません。人とのご縁も含め、見えないけど大切なものもたくさんあります。子ども達にはそういう「見えないもの」をたくさん感じてほしいです。

松田
私の教育理念は寄り道をしてもいい、遊び心がないといけないということを非常に重視しています。これからの時代に必要な創造力や感性の豊かな
若者がどんどん育ってほしいです。大人も同様に「教わる」でなく共に「学ぶ」姿勢がとても大切です。
そして、ぜひ夢を持ってほしいです。その夢が未来を形作っていきます。遊び心を持って寄り道をしながら自分の感性や創造力に火をつける。獅子
丸での学びが心の中の火に気づくきっかけとなれば、世界は一気に広がっていくでしょう。

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